これまで生きてきた時間を振り返ると、やり直したいことなど山のように思い返される。
でもその中で常に思い出されるのは、中3から高1にかけてのある出来事。
今でもたまに夢に見るぐらい。
中3の頃、クラスにとても仲の良い女の子がいた。
バカなことも平気で言い合える最高の友達だった。
その年のこっちの誕生日に、彼女がプレゼントをくれた。
内心めちゃめちゃうれしかった。
その少し前ぐらいからこっちは恋愛対象としての気持ちが芽生え始めていたからだ。
しかしその時は素直になれず、そっけなく「サンキュー」ぐらいしか言えなかったと思う。
その後、彼女の誕生日にはこっちからもプレゼントを。
女の子へのプレゼントなど初めての経験だった。
でもあくまで向こうがくれたプレゼントへのお返しというスタンスで。
それ以上の意思表示などできるはずもなかった。
自分の中でただの仲良しが恋愛対象へと変化すると、そのあとは日一日と好きの度合いが増していく。
卒業を間近に控え、告白すべきかどうか本気で悩んだ。
進学する高校は別々。でも告白してうまく行けば、これまで通り毎日会えるかも。
いろいろ考えたが、考えれば考えるほど、他に好きなヤツがいるのではと勘繰ったり、「告白してもしだめだったら」と弱気の虫が顔を出したりで、結局気持ちを伝えないまま卒業。
気持ちは自分の中に閉じ込めて、きっぱり諦めることにした。
高校では、ごく一部の人間とは仲良くもなれたが、親友と呼べるほどの仲間はできずにいた。
半年余りが過ぎた頃、例の彼女から突然手紙が届いた。
手紙には懐かしい文字が踊っていた。ちょっと悪態をつきながらも優しいその文面は、会えなかった半年ほどを一気に埋めてくれた気がした。
手紙は向こうの高校の文化祭へのお招きだった。
携帯も、ましてやLINEなどなかった時代の話。
家電に連絡する勇気もなく返事は返せなかった。
今思えば、手紙だけでも返しておけばよかったと思う。
お誘いはこれ以上ないほどうれしかったが、ひとりで訪ねていく勇気が出なかった。
結果的に、取り立てて仲が良かったわけでもないが、地元が近いという理由だけで、ひとりのクラスメートに声をかけ一緒に行ってもらうことにした。
当日。
彼女がどこにいるのかもわからないまま文化祭を見て回った。
しばらく歩いていると、ある教室の前に彼女がいた。
中学の頃、彼女と同じグループで同じ高校に行った子も数人一緒だった。
こっちにも連れがおり、向こうも他に友達がいる状態。
その状況を変に意識してしまった自分は、手を挙げて「よっ!」と軽くあいさつをした程度で、次の教室に向かってしまった。
彼女の目には、せっかく招待した中学時代の友達がそっけない態度でただ通り過ぎていったように映ってしまっていただろう。
こっちは「校舎内のどこかでまた会えるだろう」ぐらいにやたらと楽天的に考えていた。
結局、2度目はないまま帰路に着くことになった。
勇気を出してひとりで訪ねて行っていれば。
勇気を出して彼女といろいろ話していれば。
これが中3から高1にかけての出来事。
今考えれば、向こうから誕生日プレゼントをくれたり、卒業して半年も経って手紙をくれたり、少なくとも向こうはこっちのことを悪く思ってはいなかったはず。
気持ちをごまかしたり封じ込めたりせずに、もしも万が一だめだったとしても、勇気を振り絞って気持ちを伝えておくべきだったといまだに思う。
あの頃に戻れたら、彼女に気持ちを伝える。
その勇気が出せていたら、その後の人生もいろいろ変わっていたかもしれない…。
いやはや、こうして思い返してみると、やたらと気持ちが入って長い文章になってしまった。
懐かしさや自分への情けなさ、悔しさなど、いろいろな感情がごちゃ混ぜの状態で一気によみがえってきた。
でも、じっくり思い返す時間が作れたのはよかったかな。
良い機会をくれた「お題」に、
感謝。