実のところ「飼っていた」というわけではないのだが、部屋に住み着いていたクモを、ペットのように同居人のように思いながら過ごしていた時期があった。
もちろん、いかつい毛むくじゃらのようなヤツではなく、体長5mmほどの可愛らしいヤツだ。
自分の中では「くーちゃん」と呼んでいた。
窓際のカーテンがお気に入りだったようで、よくカーテンの上をあっちへこっちへとうろうろしていた。
その姿を見るたびに「お、くーちゃん今日も元気だな!」と安心したものだった。
近視のためよく見えないこともあったが、床にくーちゃんらしきものがいた時には、踏みつけないように気をつけた。
ほとんどの場合、それはゴミだったりしたのだが…。
くーちゃんとの蜜月は1ヶ月ほど続いただろうか。
いつのまにか、姿を現わさなくなった。
別の部屋へと転居したか、あるいは寿命が来て部屋のどこかで永遠の眠りについてしまったか。
ひとりで暮らしていると、こうして思いがけない同居人が現れた時に、変に情がわいてしまったりする。
次に引っ越す時には「ペット可」の物件を見つけて、ニャンコを同居人として迎えたいものだ。